「どうせ男向けのエロゲーのムックなんだから、このくらいにしといていいんですよ。男なんてちんこと胸はでかければいいと思ってるバカな生き物なんですから」
フォトショにこんなにショートカットがあったのかと驚くほどのスピードで、キーボードとマウスを駆使してあっという間に画像を加工した高橋は、ディスプレイに顔を向けたままでぶっきらぼうに言った。
「だから、そんなバカな生き物にフラれたからって、落ち込むことないですよ」
「え? なんであたしがフラれたって……」
なんであたしが彼氏にフラれたって、高橋が知ってるの?
自分のプライベートな話なんて、一切した事ないのに。
え、やだ。
もしかして、高橋ってやっぱりあたしに気があるの?
あたしが彼氏にフラれた事も調べ上げるくらい、いつもあたしの事を見てるわけ?
やだ、こわい。ストーカーじゃないの?
あんたみたいに生意気な事ばっかり言う男、絶対付き合いたくないんだけど。でも年下の男に、そうやって憧れられるのは正直悪い気はしないから、どうしてもっていうなら、一緒に食事くらいは行ってあげてもいいけど。
「なんでって。戸田さん最近、仕事中に白目むきながらぶつぶつ元彼の悪口言い続けてるからすぐわかりますよ。なんか呪いの呪文みたいで怖いんでやめてください」
「…………」
「あの呪文、無意識に言ってたんですね。あ、その顔でこっち見ないでください。俺まで呪われそうで怖いです」
「…………」
なんなんだ。この憎たらしい生き物は。
こいつ、こんな生意気な事ばっかり言ってて、よく今まで無事に生き伸びてこられたな。


