「あっそ」

ならさっさと帰ってよ。
こんな生意気な新人に、泣きべそかいた赤い目を見られたくない。
そう思って、顔をそらしてマウスを動かす。

「画像の修正してるんですか?」
「そうよ。どっかの可愛くない新人がやってくれないから、仕方なくやってんのよ」
「それじゃ修正前と変わんないですよ。もっとちんこ大きくした方がいいと思うんですけど」
「えー? でも実際こんなもんじゃない?」

こんな深夜に、一体なんて会話をしてるんだ。そう思いながらカチカチと作業をしていると、

「ふーん。戸田さんの歴代の彼氏って、こんなもんなんですね」

高橋は無表情のままそんなセクハラ発言をして、あたしの右手からマウスを奪い画面上のカーソルを動かした。

「どうせならこのくらい大きくした方がいいと思うんですけど」
「いや、でかすぎでしょ。え、もしかして高橋ってこんなにでかいの!?」

画面上に記された局部の大きさに驚いて、思わず高橋の股間辺りを凝視してしまったあたしに、

「戸田さん、吐き気がするほど下品ですね。セクハラで訴えますよ」

一瞬でマックごとフリーズしそうなくらい醒めた視線でこちらを見下ろす年下の男。

おい、最初にセクハラ発言をしたのはそっちだろうが。