目のやり場に困っていたら
私の手が暖かくなった。
私の手は
水嶋のコートのポケットに入っていた。


「手が震えていましたので。」

私が驚きの声を上げるのを
水嶋が先に制止した。

ポケットの中で握られる私の手。

普段白い手袋をしている水嶋の手は
暖かかった。




清美たちは目的地付近で立ち止まる。
私はみんなに気づかれないうちに
水嶋のポケットから手を出す。

…もう少しああしていたかったけど。

「じゃあ
また2時間後くらいにここでね。」


玲奈がと清美が目配せしている。
なるほど
あの二人のおかしな視線は
このことか…

自由行動にして
私と水嶋を
二人きりにしようって魂胆ね。
…ってえぇっ!?


そんなことを考えてるうちに
2組のカップルは
人ごみへ消えて行った。
や、やられた。

取り残された私と水嶋。

これから2時間どうしたらいいのよ!