だけど……



この時、わたしは中田先輩と話をする前に、あんな深刻そうな顏をしながら教官室に入ろうとした望月くんのことを



もっと気に掛けてあげられたら……



日頃からもっと望月くんの小さな変化に気付いて上げられたら……



望月くんは中学生の時みたいにあんな思いをしないで済んだかもしれないのに。



バスケだってもっともっと上を目指して頑張れたかもしれないのに。



わたしはその最後の小さなサインすら気づくことができずに



最悪な展開を迎えることになってしまったんだ。



もう一度バスケをやって、本来の自分らしさを取り戻してもらいたくて男バスに勧誘したのに



わたしは結局……望月くんの何の役に立つことができなかったんだ。