「分かってますよ。



3年生の先輩たちだけじゃない、スタメンに選ばれなかったベンチの部員達にも、



“中田先輩をスタメンにすれば良かった”って思われたりするようなプレーは絶対にしません」



両手をぎゅっと握りながら中田先輩に自分の意思を伝える望月くんの表情は真剣そのものだ。



自分よりも年上の人にこんなこと言うのは、すごく勇気のいることなのに……



迷うことなく、怯えることなく自分の気持ちを伝える望月くんがとってもかっこよく見える。



「ならいい!次は絶対にスタメン取り返してやるからな!覚えとけよ!



年が1個下だから、後輩だからって俺は絶対にお前のペースになんか合わせてやらねぇからな」



「俺も中田先輩には絶対負けませんよ!」



「そんな威勢を言う口はどの口か!」と言いながら望月くんの肩に腕を思いっきり載せる中田先輩に



「重いですよ!勘弁して下さい!」と笑いながら答える望月くん。



2人の関係に流れていた緊張の空気も消えたみたいで安心して、わたしも笑顔になれたんだ。