「…廣木、君…」 「…紗絢」 廣木君は優しいね。 だから、そんな顔しないで。 縋りたくなっちゃう。 「…もう、分かんないよ…っ」 息苦しさから思わず出た弱音。 涙がぼろぼろ零れる。 頬や首筋に張り付いた髪。 霞む視界に見えるのは雨と、彼。