しかし智輝はボソボソと何かを呟くだけ。小声すぎて聞き取れず、目撃者の男性は耳を寄せた。 近付いた男性の襟首を掴み、引き寄せると、智輝は涙ぐみながら叫んだ。 「今はそんなことどうでもいいんだよ…っ!」 「ひっ!」 「さっさと救急車呼べよ!」 「よ、呼びました! 呼びましたから!」 「来てねえじゃねえか!」 そんな早く救急車が来るはずもない。 しかしこうしてる間に飛鳥の命の灯火は消えかかる。