キーを差してエンジンを噴かす飛鳥は、無表情で智輝に言う。 「お前言っただろ、逃げるなって」 今にもバイクで飛び出しそうな飛鳥だが、ハンドルに置かれた智輝の手が邪魔をする。 「好きだって伝えに行けって言っただろうが」 「言ったけど、」 「行ってやるよ」 口角をあげてシニカルに笑う飛鳥。 「俺は、紗絢が好きだ」