「おとなしく手を挙げなさい!」

空我の後頭部に銃を突きつけた美麗がにらみを聞かせている。

「美麗さん?」
「こいつは、空我さんではないわ。こいつは・・・」
「ちっ・・・バレたか・・・」

灰色の霧が、空我の身体を包んでいく。危険を感じ取った徳良は、すぐさま椿を抱きしめ窓から外へ飛び出した。

それを見た風燕が武器を取り出し、禮漸と瀧蒸が手にしているタバコとキセルに火を付けその煙を風燕の突風に熨せた。たちまち大きな雲がその場所に作り上げられる。その場所に椿と徳良がスポッと落下。そのままゆっくり地上に降りてきた。

徳良は、禮漸に椿を託すと「美麗様の元に急がなくては!!」といって再び屋敷の中へと戻っていった。
禮漸は、驚きを隠せない椿を抱えながら海の方向へと走り始める。風燕は、禮漸たちがある程度離れたのを見た瞬間、結界を広範囲で張り巡らせる。