10月

「よっこいしょ。」

いつものように畑仕事を終えた緑涼。手ぬぐいで汗をぬぐいながら、縁側から家に入る。キッチンで、グラスに水を入れ一気に飲み干そうとしていたその時だった。

「おはようございます!!伝書鳩郵便で~す!!」

伝書鳩郵便
世界の壁に関係なく、様々な異世界に郵便や荷物を運び続ける郵便やさんである。ただし、設立されたのがここ百年前であるため、あまり広まっていないのがネックになっているようなのだが・・・

「緑涼さん宛にお荷物届いてます!」
「あ、はぁ・・・。」

緑涼は、サインをするとその荷物を受け取った。

「おっ、空我からだべなぁ~。」
ニコニコしながら、開けようとしたの緑涼だがその荷物に違和感を感じた。
「でも、この字・・・」


“空我の文字じゃない”


そう感じた緑涼は、禮漸の部屋に向かう。

「ふぁ~・・・なんすか、緑涼さん。」
「空我から荷物がきたんだが、なんか文字が違う気がしてさ・・・。」
「う~ん・・・確かに違うっすね。」
「んだべな・・・。」
「とりあえず、念のために本人に聞いてみますか(笑)」
「そうだべな(笑)」

そういいながら、その荷物を持って緑涼は玄関の電話口へと向かうのだった。