少しフォームが崩れた。

放たれたボールは少し右に寄り、バックボードに当たり跳ね返った。

転がったボールは俺の足元に…

辺りが波を打ったように静かになった。

『…あぁっと、先攻の高野くん、21投目を外してしまいました。
後攻の佐藤さんが、自分のシュート位置に向かいます。
このシュートが決まれば佐藤さんの勝ちとなります』
進行役の声が響く。

浅井は、ずっと真尋兄ちゃんを見つめている。
そんな浅井に、頷いて見せる真尋兄ちゃん。
それを見ただけで、2人が信頼し合っているのが分かった。

真尋兄ちゃんがポジションにつき、ボールを2.3回バウンドさせるとシュート体制に入った。

そして放ったボールは、キレイな放物線を描いてゴールに吸い寄せられた―