ふわふわ、ほわほわ

今のベルの気持ちは
こんな感じ?

明日は早くから起き出して
厨房でセルヴァンの為に
お弁当をつくるのだろうなぁ。
そう考えると
春の日の陽だまりが
胸の中にできたみたいで
自然に口元が緩む。

セルヴァンは城下町にある
鍛冶屋の息子で
幼いころから城に武器や防具を
収めるためによく来ていた。

牡牛角というのは
セルヴァンの父、
つまり鍛冶屋の主人である
オーガイルが昔、
素手で牡牛の角を折った
という逸話から来ている。

近衛兵隊長だった父の
好敵手だったらしく。
王になったあとも二人は仲が良い。
父がこだわるのもあり、
武器の手直しをしたあと
大体遅くなって、そのまま酒盛り
鍛冶屋のお上さんが迎えに来る
というのはよく見た光景だ。

その間、セルヴァンは私たちと
遊んでいた。
そのころからベルは
彼に淡い恋心を抱いていたようで
そして彼もベルに想いを抱き
幼馴染として育った二人は
お互いに意識し会いながらも
まだお互いの気持ちを
通わせず今日まできたわけで・・・