優しい笑みを向けてくれる旦那さんに微笑むお姉ちゃんは、本当に綺麗で。
お姉ちゃんが浮気していたなんてことが信じられないぐらいの、神聖で素敵な挙式だった。

わたしはその中でたった一人、お姉ちゃんに腹を立てていた。
その場に居ない大垣くんのことを思うと、泣いてしまいそうになるほど。


「……ん、そうか。美保が幸せそうなら、俺はそれでいいよ」


大垣くんの言葉からは、“俺は大丈夫だよ”って声が聞こえそうだった。

その幻の声はお姉ちゃんではなく、わたしに向けられたもののようで、それで気付いた。

昨日のことを思い出したわたしが、きっとそのときに溢れそうになった感情を顔に出してしまっていたことに。


「俺は美保が幸せなら、それでいいんだよ。美希だって俺に、悲しまないでくれたらそれでいいって言ってくれただろう? それと似たようなもんだよ。それに……」

「……っ!?」


突然大垣くんの腕が伸びてきたかと思うと、両方の頬を掴まれて見つめられた。
すぐ近くで見る大垣くんの顔と触れてくる熱い指先に驚いて、その状態のままで固まってしまう。