ひゅっ、と喉が鳴く。


どくりと鼓動が響いて、目が覚めた。


カーテンの隙間から漏れた光がうっすらと映りこんだ瞬間、思わずため息がこぼれる。


季節外れの汗がじんわりとこめかみを伝う。


覚束ない手つきでそれを拭うと、ああ、生きている、と思った。


何度同じ悪夢を見ても、その度にこうして身震いをする。


そうして目が覚める、同じ場面で。何度でも。


早春の明け方、薄目を開いてよく凝らしてみる。


視線の先に、積木のカレンダー。今日がいつなのか、ぼんやりと頭を働かせた。


もうすぐ皐月がやってくる。


皐月――耳を塞ぎたくなるような響き。


ぎりぎりと音を立てて歯を食い縛った。


泣いてはいけない、分かっているーーそれでも悲しみは堰をきって溢れだしてしまった。



目覚ましが鳴るまでの猶予、頬が擦れるほど強く、枕に顔を埋めた。



声を殺して、泣いていた。