「てめえにもだ」

 やや怖がる少年にもぴしゃりと言ってのけた。

「俺にも好みはある」

 こりゃだめだと雅史は生温い笑みを浮かべ、未だ諦めのつかない顔をしている姉を一瞥する。

「姉ちゃん帰ろう」

「でもっ」

「帰らねえと追い出すぞ」

 いい加減に怒られそうなのでしょんぼりしている姉を連れて外に出る。

 弟としては今までの相手に比べればまともそうな泉は大歓迎だったのだが、女性に興味がない人間であると知って残念に思った。

 それと同時に、自分にも興味がないとか言われてなんとなく悔しくなった。

 いや、興味があると言われても困るだけだけど負けた感がしてどうにも切ない。