「みんなオレの言うこと信じてくれないんだよ」

 姉ちゃんは行方不明じゃない、あいつが連れてったんだ。

 どうもきな臭い話になってきた。

 泉は面倒そうに再び舌打ちすると少年を見下ろす。

「名前は」

「白石 麻美(あさみ)」

「女じゃねえ、お前のだ」

「あ、雅史(まさし)」

 名乗った少年に入るようにあごで示し、雅史はおずおずと靴を脱いで男の背中を追った。

「歳は」

 ソファに促されジュースと同時に尋ねられる。

 革張りの落ち着いた色をしたソファは座り心地が良く、雅史は羨ましさを感じた。