泉は灰色のジープに近づくと、車にもたれかかり端末を手にする。

「ベリルか、こっちは完遂だ。そっちの状況は」

<お前に協力を要請したい>

 心地よい声に、待ってましたと口の端を吊り上げた。

「詳細はパソコンに頼む」

 通話を切り、微かに髪を揺らす風を楽しむように海を一瞥するとジープに乗り込んだ。