「あの、あの人は?

「あ~、気にしなくていいです。一般人はあまり関わり合いにはならない方がいい」

 とても知りたそうにしている女性から苦笑いを浮かべて視線を外す。

 確かにあいつは格好いいとは思う。

 ガタイも日本人にしてはでけえし強いのは本当だ。だがな──言えない、言える訳がないんだよお嬢さん。

 あいつがアレだなんてことは!

 まるで騎士を待つ姫のように、泉の影を追う女性に呆れて目を据わらせた。