五分ほどしてサイレンの音がけたたましく響き、倉庫の前に数台が勢いよく止まった。

「おら泉! どういうことだよ」

 覆面パトカーから出てきたスーツ姿の三十代後半と見受けられる男は、軽く手を挙げる泉に駆け寄る。

「事情はそこの女から聞けよ」

「あ? おい──」

「俺の仕事は終わりだ」

 泉は知り合いであろう男に目を向けず、封筒を女性に突き出した。

「弟に返しておけ」

「なんなんだよまったく」

 離れていく泉の背中に男は溜息を吐き出した。