Blow of wolf-狼の一撃-

「あ?」

「ひぃっ!?」

 バックポケットからナイフを取り出す仕草をした刹那、破裂音が青年の頬をかすめて後ろの荷物に小さな穴を空けた。

「ああ、すまん。つい」

 しれっと発して黒い塊を腰の後ろに仕舞う。

「まあ一応な」

「ぎゃふっ!?」

 恐怖で動けなくなった青年に駆け寄り、その腹に膝をお見舞いして撃沈させる。

 気絶した事を確認してスマフォを取り出し番号をタップした。

「──伊藤はいるか? あ? 誰でもいいから早く出せ」

 苛つき気味に応答を待ちながら、女性の拘束を解く。