Blow of wolf-狼の一撃-

 そもそも見張りがいない時点で泉の気分は萎えていた。

 なんでこんな事で俺が出なきゃならんのだ、こんなもの日本の警察で充分だろうと眉間にしわを刻む。

 親が信用しないのだから仕方がない。

 面倒だからと警察を呼ぶのも余計にフラストレーションがたまりそうだ。

 不満をぶつけられるのならと納得を示し、シャッターと一体化しているドアに手を掛けて静かに開く。

 鍵もかけられていない事に泉の怒りはさらに増した。

 奴らの倉庫じゃないにしても、中からなら鍵をかけられるはずだ。

 あまりにも緊張感がなさ過ぎる。

 泉にしてみれば楽に遂行出来るのだからいいはずであるにも関わらず、その怒りは目尻の吊り上がりに表れていた。

 元々の吊り目がますますもって吊り上がっている。