Blow of wolf-狼の一撃-

<口止めするだけでいいんじゃないか?>

 さすがにそれは抵抗があるのか、引きつり気味に一人が応える。

 女の声は聞こえないが、おそらく手足を拘束されて口を塞がれているのだろう。男たちの様子から女が無事な事が窺えた。

「五人か」

 泉は口の中でつぶやき、イヤホンから聞こえる音に聞き入る。

 しばらく耳を傾けたあと、おもむろに倉庫の裏手に回った。

 ここの倉庫群は一定数で横の壁とつながっている。

 例に漏れず、目当ての倉庫も隣と横壁がつながれていた。

 面倒だと顔をしかめながら裏に回り、二メートルほどの高さにある小さな窓を見上げる。

 そうして再び、何かの金属を投げてガラス窓にくっつけた。