Blow of wolf-狼の一撃-

「あれか」

 記憶にある番号を確認して気配を探る。

 慎重にしかし堂々と倉庫の入り口に近寄ると、所々サビを見せている水色のシャッターに何か小さな金属を取り付けて一旦離れた。

 五十メートルほど離れたフォークリフトの運転席に腰を落とし端末をいじる。

 ワイヤレスのイヤホンマイクを耳に装着して片目を眇めた。

<おい、どうすんだよ!>

 途切れ途切れながらも男の声がイヤホンから伝わる。

 二十代とおぼしき男の声だ。続いて同じ二十代と思われる声が、

<今更仕方ねえだろ!>

<殺すのか?>

 やや緊張気味の声に一瞬、沈黙が包む。