いつも自分を卑下するような言葉を使うから、イライラが増す。
カッチーンとキレたあたしは立ち上がると鉄平を見下ろした。
その弾みで鉄平は尻もちをつく。
「そうねぇ。アンタなんかが点を入れられるわけないわね。フィールドでドジやらかすアンタを笑っててあげる」
鉄平は体を震わしながら、尻もちをついた体勢のまま、あたしを見上げていた。
「……ひ、ひどいよ、悠衣ちゃん」
「悔しかったらさっさとみんなのトコに戻って、点の一つや二つ、入れてきなさい!」
あたしがグラウンドを指さしながら一喝すると、鉄平は悔しそうに唇を噛んだ。
「悠衣ちゃんのバカ」
鉄平はつぶやくと、立ち上がって、脱兎のごとく来た道を戻っていった。
より小さくなる背中を見ながらため息をひとつつくと、あたしは再び腰を下ろした。
その時、どこかからか視線を感じた気がして、あたりを見た。
グラウンドに目をやった瞬間、その中央付近で練習をしている和くんの顔が動いた気がした。
まるで、あたしの目から逃げるように。
もしかして、見られていた?



