小学校4年生の夏休み。
お母さんと、田舎に住むおばあちゃんの家に遊びに行った。



都会から田舎まで、電車で2時間。村の小さい駅からおばあちゃんの家まで車で30分。


計2時間30分の道のりだけど、私は退屈はしなかった。ビルから山に変わる風景が楽しくて、窓から目を離せなかった。


「おじいちゃん!!」


「お〜、鈴に千鶴さん。よく来たな〜」


駅を出ると、目の前におじいちゃんの車が止まっていた。車から出て待っているおじいちゃんに駆け寄り、抱き付く。


「お父さん、お世話になります」


「千鶴さん、お腹の子も大きくなったのぉ。名前は決めたんか?」


「いえ、まだ…」


おじいちゃんに荷物を預け、お腹が大きいお母さんを支えながら車に乗り込む。


今回の夏休みは、もうじき生まれてくる赤ちゃんの出産も兼ねている。


念願だった、弟。私は嬉しくて、「弟が出来る」と聞いた時は涙を流したほどだ。


「鈴も、お姉さんかぁ」

「うん!!だって、念願の弟だもん!!」


他愛のない会話をしながら、車を走らせる。