小さくて弱いといっていたゴンザレス。
だが、そのゴンザレスの身長は2メートル50センチ。
そして分厚い胸板は300センチ。
腕は丸太どころか大木である。
足は大根どころか、きゅうりのように長い、かぼちゃである。
「やべ、また壊しちまっただよ。怒られるのやだだな。朝食をお持ちしましただよ。お客様」
僕にいっているのか?
お客様。僕はいつチェックインをした?
こんな化物や悪霊のいるホテルに!
誰が好き好んで泊まるか!
だが、聞いた事がある。
神様の光も届かない場所にある呪われた場所を。
そこはかつては地上の楽園と呼ばれていたが、島ごと消えたという。
突如として。66年前に何のまえぶれもなく消えたんだ。
最悪だ。最悪の場所に僕は来てしまった。
でも、これは幸運な事かも知れない。
僕の祖父がこのホテルに行って消息を立ったという。
幼かった父を残して。
僕は祖父に会えるかも知れない。

