充はこの日を一生忘れないだろう。

謎の声を聞いたこの日の事を。

呪いの痣が左肩に出来た事を。


「シャワーを浴びよう。疲れた……疲れた」

そう無気力な声で呟きながら、浴室に行く充。

シャワーしかないバスタブのない人一人しか入れない狭い空間。


だが、もう一人いた。
充の背中にピタリと張り付く存在。

充は知らない。何故なら自分の背中が見える人間がいるのだろうか?


鳥のように180度首が回らない限り自分の背中を見るのは不可能。

朝が来れば大丈夫だと思ってはならない。

背中に悪霊が張り憑いているかも知れないから。