「二人が付き合う前から棗くんはめいのこと、すっごく大切にしてたと思うよ。あんな優しい笑顔見せるの、めいに対してだけだったもん」


そうだったの………?


でも、もしそれが本当なら………私は棗を信じなくちゃいけないよね



「信じられる……かな」


ヒロ兄のときは、目の前の事実だけを信じてヒロ兄のことが全く見えてなかった


それは、私の心が弱かったから


戦う勇気がなかったから



梨花は優しく微笑んで、そして力強く頷いた


まるで、私の背中を押してくれるかのように



「私、頑張る」


棗が私を受け入れてくれたように、私も棗を受け入れなくちゃ



「さて、めいの心も決まったことだし、教室もどろっか」


まあ一時間目は終わったけどね、と梨花はいたずらっぽく笑った



……………ん?


一時間目が終わった?



「嘘でしょ!?私、梨花のことさぼらせちゃったってことだよね?」


話に夢中でチャイムにすら気づかないなんて………



「いいのいいの!全部聞けてすっきりしたから!」



「でも……「その代わり、さっさと棗くんと仲直りしなさいよ」



「………ふふっ」


「なによ」


「別に?梨花は私にはもったいないくらい、いい親友だなーって思っただけ!」



そう言って抱きつくと、梨花は「暑苦しいから離して!」なんて言ってたけど…………


照れ隠しだよね?