ふいに私の手を握る棗の手に力がはいった
驚いて棗の顔を見ると、棗は切なそうな、苦しそうな顔をしていた
「棗………どうしたの?」
棗はなにも答えない
「棗………?」
もう一度呼ぶと、棗は真剣な顔をして言った
「…………あの…さ、今日大翔さんとあった後、時間ある?」
「うん……大丈夫だよ」
「話があるんだけど……俺の部屋、来てくんね?」
話?
棗の顔からして、大事な話なんだと思う
「いいよ」
「玲はそっちの部屋に行かせるから、栗原にも伝えといて」
「わかった」
すると棗は切なそうに微笑んで、また歩き出した

