だから、あたしは由真が好き。


 だから、歌のテストに一緒に合格したかった。



「涼馬さん、由真を探しに行きませんか?」



 由真の執事の涼馬さんに聞く。



 しかし、涼馬さんは、お嬢様が消えたのに、表情を一つも変えずに、淡々と冷たく言い放った。



「いえ、わたくしは由真を探しには行きません」



 ・・・どうして?



 あなた、由真の執事でしょう?




「どうしてですか?」


「・・・由真が、それを望んでいないからです」


「由真が望まないからって、迎えに行かないんですか?

涼馬さんの足のこと、由真に聞きました。
その足で動くのは、確かに大変だと思います。

でも、涼馬さんは由真の執事ですよね?
迎えに行きましょうよ、涼馬さん」



「・・・あなたは、聞いたのでしょう?
あなたの兄・・・緑から。

わたくしのことを」



「どうして知っているんですか?
お兄ちゃんから聞きましたか?」


「先ほどお二人が会話しているのが聞こえました。
お二人は声が大きいので、よく聞こえますね」



 ・・・よく言われます。