「そうなの・・・?」
「はい。
でも、体力を使いますので、お屋敷内では1番楽な方法で歩いて良いと言われておりますから、引きずって歩いております。
ですが、いざとなれば普通の人と変わらぬ歩き方も出来るのでございます」
「そうなの?
まぁ良いわ。
屋敷内では自由で良いからね」
「ありがとうございます」
にこりともせず、淡々と彼は言う。
昨日から思っていたんだけど。
涼馬くん、喜怒哀楽を表に出さない人なのね。
執事として当たり前の行為なのかしら・・・?
色々考えていると、学園に着いた。
背の高い煉瓦(レンガ)で出来た校門の前に、翠子がいた。
茶色いフワフワした髪を下で結んでいて、顔は凄く整っていて、私に負けないほど美人。
「翠子、おはよう」
「あ、由真!おはよう!
どうしたの?こんな所に呼び出してさ」
「翠子に会わせたい人がいるのよ。
涼馬くん、来なさい?」