呆れ果てる俺を見たお父様は、ふと真面目な顔になって話し出した。


「と、いうのはタテマエだ。
由真に理由を聞かれた場合、そう答えるつもりで言った。
良い理由だと思いだろう?」



「良いと思う。
だが、今俺が知りたいのは本当の理由だ。
教えてくれるか?」



「良いだろう。
お前はいつか泉を継ぐ人間。
知らなくてはいけないことだ。

あの事件は、泉を大きく変えた事件なのだからな」



「十分承知している。
教えてくれるか?」



「涼馬くんを採用し、由真の執事にした理由。
それはだな。







涼馬くんを人形から人間に戻すためだ」




「・・・え?」



「会っていないのか?」



「ああ・・・。
今休んでいるらしい。
会おうと思ったけど、時間ないし、都築って聞いて、由真の部屋を逃げたんだ」



「休む・・・そうか。
涼馬くんはあの事件の後遺症で目と足に消えない怪我を負っている。
目と足を守るため、その他の部分の体力をよく使う。
休憩は必要だろう」



 ・・・あの事故で、後遺症を負ったのか・・・・・。