わかっているのなら、どうして?


 あの事件に関わった由真に、何故近寄せる?





「お父様、少々お話よろしいですか?」


「どうした由也。
今からお前は大学の講義の時間だろう」



「はい。
ですが、その前に確認したいことがありますので」



「・・・良いだろう。
話の内容はわかっている。
そこに座りなさい」



 お父様に勧められた椅子に腰かける。



「都築涼馬くんのことだろう」


「はい。
どうして由真に近づけたんだ?
お父様、わかっているだろう」



「勿論だとも」



「じゃあ、何故・・・?」



「由真を、涼馬くんを変えるためだ」



「変える・・・ですか?」



「あぁ。
現在由真には恋人がいない。
泉の人間が未婚なのは困るからな」



 それだけかよ・・・。