「じゃあ、部屋に案内しますね」


「かしこまりました」



 私たちが暮らすお屋敷は広いけど、階段はあまりない。


 前に泉財閥の跡取りであるお兄様が趣味のバスケの試合中に足を骨折してしまい、それを機会に屋敷全体をリフォームしたのだ。



 出来上がった現在の泉家は、怪我で車椅子生活だったお兄様のためにバリアフリーが施されている所が多い。



 使用人たちも多くが五十代なので、お兄様の怪我が治った現在も、バリアフリーのまま。



 まぁお金がかかるからっていうのが本当の理由なんだけどね。



 だから、涼馬くんにそんな障がいはないと思う。




 特に話す内容がないので、私から話を切り出した。



「ねぇ涼馬くん、その右目、眼帯しているけど、見えているの?」


「視力自体は左目より落ちますが、見えてますよ」



「じゃあどうして眼帯なんてしているの?」



「・・・事故の時足と同時に右目にも怪我をして。
その傷が治っていないので」



「そうなんだ・・・」



 右足と右目を怪我する事故。


 どれだけ大きな事故だったのだろう・・・。