「かしこまりました」


「そうそうこれ。
由真ちゃんの部屋に運ぼうと思っていたの」



「私の部屋に?」



 渡された段ボールは軽かった。



「何これ」


「涼馬くんの私物よ。
涼馬くんはこれから由真ちゃんの部屋に暮らすことになっているからね」



 私の部屋に暮らす!?


 いきなりすぎじゃない?


 心の準備はまだだし、何より今日出会ったばかりの人なのに。




「使用人たちが暮らす寮は今空いている部屋がないの。
そうしたら涼馬くんが暮らす部屋なくなっちゃうでしょ?
だから由真ちゃんの部屋で過ごすのよ。

因みにこれは隆也さんの意思だから、曲げられないわ」



 お父様め・・・勝手に決めて!



「これ、部屋に運んでもらえないかしら?
由真ちゃんの部屋への行き方とか学んでね涼馬くん」



「・・・わかりました」



「じゃあね由真ちゃん、涼馬くん」



 お母様はそう言うと、ワンピースを揺らしながら行ってしまった。