「少し言いたいことがあるの。
こっち来てもらえる?」
驚く様子もなく、涼馬くんはこっちへ来る。
事故で怪我をしたと言っていた右足は、屋敷内なのでやはり引きずっている。
「涼馬くんに聞いてほしいことあるの。
今なら言える気がするから」
涼馬くんは、私の執事。
泉家に仕える人間。
例え今は仮だとしても、知ってほしいことがあるから。
「実は7年前にね、この屋敷内で事件があったの」
「事件・・・ですか?」
「そう。
その事件にね、私は関わっているの」
「由真が・・・?」
「事故を起こしたのは・・・加害者と呼べる人物はね、気味悪い声と笑い方をする、一人のおばさんだったの。
おばさんは、私の知らない男女2人と、おばさんの甥にあたる人物を連れて、屋上へ向かったの。
屋上へ通したのは、当時警備員をやっていた男性。
事件の後、警備員は責任をとってやめたわ」
「その警備員がやめたのに、どうして由真が関わっているのでございますか?」
「おばさんと、その時おばさんといた甥を、屋上へ通じる入口へと案内したのは私なのよ」
ずっと、隠してきた罪。
実はこれ、両親やお兄様しか知らない真実なの。
翠子でさえも知らない。


