莉奈の目が覚めると……


…………………無…………………



何もない真っ白な世界が広がっていた


莉奈「何……これ……」


「天界…………………」


莉奈「っっっ!!! 誰っっっ!!!」


振り向くと、着物を着た綺麗な女性…。


「あんさんの昆孫(こんそん)。あんさんから六代やな………」


莉奈「私……死んだの?」


「あんた自ら身投げしたんやないの…」


莉奈「…………………………。はい」


「うちと同じ境遇の莉奈が難儀でなぁ……」


莉奈「はぁ……。天女にしたのはあなたですか……」


「えぇやろ〜〜?」


莉奈「偉い迷惑でした……。でも、助けられたのも事実ですね……。何故幕末だったんですか?」


「うちが生きた時代やから……。」


莉奈「あぁ……そうですか……」


「羽衣……良い案やろ〜〜?」


莉奈「驚きました。私が泣くと雨が降るのもあなたの仕業ですか?」


「それは……あんさんの気持ちの強さやろうな……。それはうちは何も分からんのやぁ……」


莉奈「私はもう戻れないの?」


「どうしたいん? 羽衣を羽織れば未来に返してやるし、ネックレスが欲しければ幕末に戻す。 此処で暮らすのも良いで?」


莉奈「幕末に帰りたい」


「もう戻れんよ?」


莉奈「むしろ帰りたくない!!!」


「じゃあ……見てみ?」


昆孫は杖みたいな物を床にコンっと付くと……地が透け始めた。


莉奈「危なっっっ!!!」


「見てみぃ?」


莉奈が自殺し、警察や報道陣が駆け付けている。


借金取りは呆然………。 借金が帳消しになった瞬間だった。


お父さんは莉奈を抱き締め号泣……。


何度も何度も謝るお父さん………。


……………………………


その後……お父さんは残りの借金を帳消しにする為に莉奈の生命保険で払い、道路工事のアルバイトで生計を立てて、酒もギャンブルも辞めた。


ボロアパートには……莉奈の部屋から引き取ったものだけ………。


お父さんは莉奈の遺影に手を合わせ、申し訳ないと泣きながら寝るまで拝む。


莉奈「許すよ……。お父さん。
でも……私は未来には戻らない。私は……幕末で天寿を全うする。

総司と……生きて行きたいから。」


莉奈の意思は固まっていた。


「良いんやな?」


莉奈「良いよ」