「お前が、泣かせた?」 そう言って、智希は戒斗を睨みつける。 「俺がそんな事するはずねぇし。 知らねーよ。」 戒斗は、言った。 「大丈夫?」 遥香が優しく言う。 「…大丈夫っ。 廊下に立たされて嫌だっただけ。」 こんな事で泣いてたら、迷惑だ。 「なら、良かったわ。」 遥香がそう言って、笑った。 「ありがとう。」 さりげなく、音楽室の前を見た。 愁君の姿はなかった。 もう、教室戻ったんだ。