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ふと晴天に目を細め、空を仰ぐ。

辺りを田んぼに囲まれた古ぼかしい校舎は

夏の日差しで、今にも燃えてしまうのでは

ないかと思わせる。


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「あ、拓也君。 部活大変だね。

暑いから気を付けてねー!」


「ん!? おうっ。」


やつは舎弟の佐野 則武 (さの のりた

け)、通称タケだ。



奴は学校の図書館で何やら危険なモノでも

調べていたのだろう。


早々に帰り支度だ。



帰って、キンキンに冷えた部屋でさぞかし

如何わしい事をするに違いない。


(解: ただ図書館で宿題をして終わったところ。)






俺はと言うと…


「おぃっ! 篠崎ぃ! しっかりボール見て打

てーっ!! 」


「はーいっ!! すいませんっ!!」


「おらー!! 永田もぼさっとすんなよー!! 」




テニスコートで部活中だ。




なぜかって。



テニス部だからだ。



テニス部なんて色白貧弱の地味野郎がやる

スポーツ

…だと?





バカを言うな。


この部活はきつい。


玉拾いと言う名の…ウサギ飛び兼から乱打

という名の反復横飛びをもう、かれこれ3時

間近くやらされているんだぞ。





そんなテニス部にいる理由など

ただひとつ。



女子にモテそうだから…だ。



テニスと言えば高貴なスポーツ、

隣のコートでは女子の名物ユニフォーム

であるスカートがピラリ、ピラリ。



見えるか!?見えないか!?の瀬戸際で…



おっと、つい邪悪な思考が俺を汚染しに来た。




話が逸れたが、この部活は唯一この北中で

全国大会レベルを誇っている。


故に練習、特に筋トレが尋常じゃなく

キツイ。




だが、かっこいい不良を目指す俺にはぴっ

たりだ。






そうそう…俺は篠崎 拓也 (しのざき たく

や)、中学二年。

って言っても、ただの中坊じゃぁない。



俺は不良なのだ。

この栗色に輝く茶髪が何よりの証。

しかも、悪い不良じゃない。

弱きを助け、強きを挫く正義の不良だ。







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激しい練習を一通り終えた俺は、逃げんと

ばかり校内を出る。



不良たるもの、何事も途中でバックレる

べし。だ。

(解: 夏大前なので、早く終っただけ。)




…あぁ、くそ、疲れた。


早く、タケの家で冷たいモノでも

飲まなければ…


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今拓也達は夏休みの真っ最中であり、

午前中に部活の練習を終えた拓也はタケの

家で一緒にゲームをする約束をしている。



拓也は自称不良であり、則武はいわゆる

オタクと言われた少年だ。






なぜ、こんな二人が一緒に遊んでいるの

か…


それは本人達に語ってもらう事にしよう。






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「あー涼しいなぁっ!!

くそ、いい思いしやがってぇ。」


「篠崎くん、今日も練しゅ…修行だったん

だね。 昨日より覇気を感じるよっ。」


「ふん、まぁ、な。

不良たるもの強さが全てだからな…

お前 もちったぁー鍛えろょ。」



「いや、僕は…無理だよ。

絡まれたら怖いし…」



「全く、情けない奴だ。」



と、そんなこんなで、俺はこいつと

ゲームの続きを楽しんでいた。



室内でゲームをするなど、不良である俺に

はあるまじき行為だがまぁ友達なのだ。

一緒にいるのもなかなか楽しいからな。



ん、なぜこんなやつと友達か…だって?





それを話せば相当長くなる。


(解: じゃあ、いいです。

……あ、ちなみに私は解説として

これからもちょくちょく出ますので

よしなに。)




うん、まぁ聞け。

これは入学当時にまで遡る……