真面目君の綺麗事理論

「……綺麗事でしょ?」

「そんなに綺麗事が悪いこと?」


綺麗事が悪いことと言われても……私には何も言えない。

言えないからこそ…。


「綺麗事でしょ?」


こう言うしかないのだ。


「そんなに綺麗事っていうなら本音と本音で話し合おうか」


少し声が低くなった大島が言った。


まだ5月、高校に入学してまだあんまり経たないが、これから暑くなっていくとは言えまだ少し寒い。

それなのに私はなぜか冷や汗をかいていた。