愛してる。とか言わないで

「いい男いないかな…」



非常階段から下を見渡す。

男はこんなにいるというのに。


どうして、誰でもよくないのか。



目が合うだけで胸がときめいて、笑顔を見れるだけで幸せな気持ちになれる…


そんな人にはなかなか出会えない。



気持ちがいいほど晴れた空。


私は息を吸い込んだ。



泰輔…



一瞬思い出しかけた頭を振った。



もう思い出にするんだ…



私は、自分に言い聞かせた。



階段が降りた先に、誰かいることに気づいたのは、その時だった。



あれは…もしかして友也先輩?



そっと近づいて行った。



切なそうな横顔。



その視線の先には…



莉子。



何ヶ月か前まで、この人の隣に莉子はいたのに。



楓と付き合い始めた時は、嬉しかったけど…



こうやって傷ついてる人もいるんだよね。