キスに秘められた大粒の涙

「彩那
耳を疑わないで、ちゃんと聞いてね?」


「う、うん」


彩那は、驚いた表情を、手で隠しながらも
真剣な眼差しを私に向けてきた。



「昨日、好きな人に告白したんだけど…
呆気なく振られちゃった」


そうか、そうか と
私を慰めるように肩をポンポンと優しく叩く彩那。


「でも、良かったね!
自分の気持ちを素直に伝えられて
私、その鈴の勇気快く買うよ」


「ありがと!
でもね、その後に出会った人と運命に落ちちゃった
てれっ」


「また運命に落ちたの!?」


彩那は、不思議に思いながらも
私の顔を覗き込んできた。


「うん」


「え、どんな人?
かっこいい?
どのくらいイケメン?」


彩那、質問攻め禁止。


「今日から登校してくる転校生だよ」


「ええーっっ!!!」


ずば抜けた表情を浮かべながら…
彩那は瞬きの回数が一気に増え、長い睫毛が一瞬更にくるんと 上を向く。


彩那があまりにも大きい声で叫ぶから、
私は急いで彩那の口を塞ぐ始末。


「彩那声でかいってば!!!」


「ごめんごめん
だって驚くに決まってるじゃん!!
いきなり転校生と運命に落ちるなんてさ~
もしかして、これ以上の関係とか…?」


うわぁ~
彩那勘づくの早すぎ。


やっぱり女の勘って
鋭くて、険しいんだ。



時には、厄介で恐ろしい。