ほころぶ桜の花

「どうぞ、殺してください」

「え……?」



目の前の少女は、『殺して』と懇願した。



「どうせあそこへ戻るのなら…殺された方がマシ」

「ちょっと…っ!」



少女が自ら刀を自分に引き寄せた。

刃を握った手から赤い雫が落ちる。




「そう…思ってたのに…っ!」




透明な雫を流しながらの地面に座り込んだ。




「死にたくない!殺されたくない!……まだ、したいことだっていっぱいあった!

恋だって…普通の女の子としての幸せがほしいのっ!

外の世界が見ていたい!私はっ…外に出たい!」





そう叫ぶ少女は、幼い子供のように見えた。

まぁ、僕から見たらこの子もまだ子供だけどね。




「外の世界が見てみたいの?危険だよ?」

「それでも…っ!私は見てみたい…っ」



そんな少女を横目に、隊士たちに帰るように促した。