余計なことを考えていたからか。















その瞳の距離がほとんどなくなってることに気づくのに少し時間がかかった。




「えっ…?」





気づけば彼はかなりの至近距離にいた。



下手に動いたらキスしちゃうような。





彼と私の心の距離に反して物質的な距離は近い。




「なに…してんの…」



声がかすれる。




「ほんとにわかんないの?」


そう言って妖しく笑う。



彼の吐息がかかる。



なんだか男のくせにひどく色っぽくかんじる。






彼の指が私の頬に触れる。







あの瞳が近づいてくる…。









ダメ…。吸い込まれる…。
































「いってぇ!!!!」



目の前にはおでこを抑えて悶絶する彼。



勢いよく立ち上がった結果、私のスーパー石頭からくりだす頭突きをくらったらしい。






「か、か、帰る!!!!」




ちくしょう。なにどもってんだよ自分‼︎





彼が額の痛みと戦ってる間にその場から駆け出した。









「なんだよ…あの女…」



彼のつぶやきは私の耳には届いていなかった。