自分でも、わかっている。
普段は、他人なんか関係ないって思っているのに。
心のどこかでいつも自信がない。
それは、私が。
どこの、何者か・・・なのかを正々堂々と口にできないから――
いや。
自分自身、もう・・・自分が、どこの、何者かなのかがわからないからかもしれない。
本当は、ずっと。
私は藍崎薫の娘だと言いかった。
だけど、それは叶わなくて。
そのことで。
自分が不安定な存在だと、心の中に自分自身に対する不安が根付いてしまって。
だけど、ジローと出会って。
自分は自分だという態度のジローは自信に満ちていて。
大体『誰の』という考え自体が間違っていると思った。
私は、私――
だけど。
そう言い切れる、強い何かが私にはなくて。
結局、根付いた不安は、心から消えていかない・・・。
こんな不安な女では無理なのではないだろうか。
ジローの横にいるのは―――