自宅から甲子園球場までは、学校へ行くよりはるかに時間が掛かる。 普段は通学途中、朝の英単語テストに備えて英単語帳を広げていた私だが、その日はさすがにテストはない。 そこで、一冊の本を鞄に忍ばせ、読んでいた。 夏目漱石氏の『それから』である。