部室の中にはまだ私の他にあっちゃんと風見君がいるだけだった。

「ウィーッス!あんたら早いね!」


片手を軽くあげる。
にへらと笑う。

ドアノブから手を離す。

するとうしろからパタンと扉が閉まる音。

扉の隙間から覗いてた光が途端になくなり、部室の蛍光灯の光りが
頼りなく室内を照らす。

「風架も早いじゃん。どうせ走ってきたんでしょ。」

少し息が上がっていることに気付いたらしい。

「うん!でも負けたぁ。」

なんて、荷物を自分のロッカーに放り込みながら言う。

バックからジャージを取り出し、カーテンがある室内の一角に向かう。

シャーとカーテンを勢い良く開け、中に入りまた閉める。


「ねぇ、そこの風見君。」

リボンを外し第一ボタンを外しかけたところで風見君に声をかける。

「なに。」

ぶっきらぼうに返事を返す風見君。

「いつから走ってるの?」

腕を袖に通しながら聞く。

沈黙。
聞かなきゃ良かったかななんて聞いてから後悔する。


ズボンを履き終え、カーテンに手を掛ける。

今度はゆっくり開ける。

クリーム色のカーテンがヒラヒラと揺れている。