いきなり肩を叩かれて、振り返ると一人のお客様。


「本の場所を教えてもらってもいいかしら?」

「はい、どのような本でしょうか?」



お客様のご希望の本を届けるのが、私たちの仕事でもあるのだ。




「……の本なんですけど」


「え?あ、もう一度お願いします」


肝心なところが聞こえなかったから、もう一度言ってもらう。



だけど、



「……についてよ!」




だめだ、全然聞こえない。




「すみません、もう一度大きな声で……」




そう言いかけたところで




「何度も何度も言わせないでよ!」






お客様を怒らせてしまった。