只今、宿舎に向かうバスの中です。
隣の席には誰もいません。その代わり周りには女の子達がいっぱいです。なんかお菓子くれます。
そして男子にさっきから睨まれてます。

ああもう!居心地悪すぎる!!!

ということで、着くまで寝たふりを決め込みまっす


私が寝ようとしていることを察したのか、周りの女の子たちは静かになる。
私の睡眠を妨害しないためらしい。
いや、なんかもう、私の影響力すごいわ。ナルシシストじゃないのよ。


離れた席の方で1人の女の子の楽しそうな笑い声と、男どものデレデレした声が聞こえる。

その女の子とは、もちろんこのゲームの主人公である大橋陽菜ちゃんだ。


最初はぱっとしなかったものの、最近では物凄いスピードで周りの男を虜にしている。
気持ち悪いくらいに。

そんな彼女の事を気に入らないのか、クラスの女子の間ではかなり浮いている。というか、ぶっちゃけ嫌われている。

あまりにも男としか話さないからな。

だが、彼女はその事をまったく気にしていないようだ。
彼女は女が嫌いなのだろうか?
だって、彼女から女の子に話しかけるところなんて見たことないもの。

クラスの女子の1人が話しかけたこともあるが、そっけなく返されたらしい。

あ、でも1人いる。変人で有名(?
)な天笠美雨ちゃんだ。

こちらも女子の間で少し浮いている。だが、こちらは嫌われてはいないようだ。

その天笠美雨ちゃんとはよく話しているのを見る。

2人とも美人で可愛いからとても眼福だわ。

そういえば、ゲームの攻略状況はどうなってるのかねぇ。
今のところ、誰のルートにも入っていなさそうだ。

見ている限り、大橋陽菜ちゃんは誰か1人とよく話しているということはあまりなく。まんべんなく、いろんな人(ただし男子のみ)と話しているようだ。

んー、面白くないなー。誰かのルートに早く入って欲しい……



……………

………

……


カシャッ



「…ん」

あれ?寝たふりのつもりが本当に寝てたみたい

「あ、起きちゃったーもっと撮りたかったのにー」

目を開けると私の隣の席にカメラを持った天笠美雨ちゃんが座っていた。

「あれ?みんなは?」

周りがやけに静かだと思ったら、バスの中には私と美雨ちゃん以外だれもいない。

「さっきサービスエリアに着いて、みんなお店に休憩しに行ったよー」

そ、そんな……起こしてくれたっていいのに。

「あ、拗ねてる?可愛い〜!!まぁ、気持ちよさそうに寝てたからみんな気を使ったんだって!そのひざ掛けのことも含めてお礼を言っといた方がいいよ〜」

本当だ。私の膝には少し薄めの毛布がかけられている。
優しいなぁ。ちゃんとお礼言おう。

「うん……なんか、思ったよりまともだね」

「思ったよりって……何それひどい」

「いやだって、最初が最初だったから……」

普通、会って早々の人の胸を揉まないと思うんです。いくら性別を確認したいとはいえ、他にも方法はあるだろう!!

「あー、あの時はごめんね。つい。すぐ謝ろうとしてもなかなか行けなかったから」

悪いとは思ってたのか。謝ろうともしてくれていたとは……人を見かけで判断しちゃ駄目だね

「いや、いいよ」

よくはないけど、そう思っていたのならまぁいいや

「次からは許可をとってから胸を揉みます!!!てことで、揉んでもよいですか!?」

「駄目」

ワキワキと動かしている手が怖いわ

「ちっ……あ、そういえば、亮たんってお兄ちゃんと何かあった?」

亮たん……?

「えっと、お兄ちゃんって、誰?」