歩きながら考える


なぜ私は「秋月亮」なのだろうか。もう少し女の子らしい名前がよかった
莉奈とか絢香とか梓とか梓とか梓とか…!!名前のせいか、とても男らしく育ってしまったじゃないか。嫁にいけなかったらどうしてくれるんだくそう

いや名前のことよりも、なぜこのキャラクターなんだよ


そう、キャラクター……秋月亮は乙女ゲーム「プラネット(はぁと)らぶ!!」にでてくるキャラクターなのだ

最近よくある乙女ゲームへの転生ものみたいな感じだ

このキャラは本来ゲームでは名前だけしかでてこない。なぜかというと、中3の夏休みに車に轢かれそうになっていた幼なじみをかばって死ぬからだ

だが、私は高2になっても生きている。自分自身のドジな体質のせいで

そもそも私がこの世界が乙女ゲームだと思い出したのは先日、4月1日の朝のことだった
目が覚めたら激しい頭痛に見舞われ、乙女ゲームのことを思い出したのだ

それらから一週間、この日がやってきた

高校2年生の幕開けとなる始業式の日。この日から主人公が転校してきてゲームが始まる

だが、始まるからといっても何も私はする気はない。だって、ゲームの中で「私」は死んでいるのだからイベントに巻き込まれるとかはないだろう

なので私は嬉々として傍観しようと思う
美女とイケメンの恋、なんて目の保養なんだろうか。うふふふー楽し

「うわっ!?」

自分の足に引っかかる
うお、やばいまた転ける…!!


と思ったものの誰かに襟首を掴まれなんとか転けずにすんだ


「いやー危なかった」

「おい亮。お前そろそろ何もないところで転けるのやめろよ」

やめれるものならとっくにやめとるわ。私だって何もないところで転けたかないよ

はぁ。と溜息をつきつつもなんだかんだで助けてくれたのは私の幼なじみである菊池夏。攻略キャラクターの1人だ

「なっちゃんが死ぬところだったのを助けたのは誰だと思ってるのかね 」

「お前が俺の服を掴んで転けたおかげだが……」

まぁ助けようと思って転けたんじゃないけど

「よくわかってるじゃん。ならいいでしょ」

「よくない、幼なじみとして心配してるんだ」

こいつがこんなこと言うなんて嘘だろ

「本音は?」

「幼なじみがドジでその事でからかわれて恥ずかしい。ついでに言えばもう少し女らしくしろ。ズボンやめろ。あとは」

「もういいわ!黙れ女顔!!」

なっちゃんは可愛い系の女顔だ。生まれた性格が間違っているんじゃないかと思うくらい。主人公とイチャイチャしているとまるで百合みたいだな
身長だけは高いけど

「うっせー男装変人」

「なっ!?」

断じて私は男装しているわけではない。スカートが嫌だから制服がズボンなだけで、髪が短いだけで、やけにそれが似合うだけで男装しているわけではない!!



そうこうしている間に学校が見えてくる

高校生活も2年目とは言え、クラス替えがあるので入学式の時みたいに緊張する
期待と不安でいっぱい

楽しい1年になればいいな



……と思っている時期が私にもありました